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AIイラストの著作権はどうなる?子どもと確認する公開前チェックリスト

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保護者と小学生が赤い狐と一緒にAIイラストの元絵と生成候補を公開前に確認するイラスト

「子どもが画像生成AIで作ったイラストを学校へ提出してもよい?」「SNSに載せたら著作権侵害になる?」と迷う保護者もいるでしょう。

結論からいうと、AIイラストだから自由に使えるとも、すべて著作権侵害になるとも一律にはいえません。 作る前に入力素材と指示を確認し、作った後に既存作品との似方を確かめ、公開・提出前に学校、コンクール、SNSなどの規則を読みます。特定の作品やキャラクターに強く似ている、実在人物が含まれる、販売・広告に使うなど判断が難しい場合は、公開を止めて相談することが大切です。

この記事では、日本の著作権に関する一般的な情報をもとに、親子で使える「作る前・作った後・公開前」の9項目を解説します。個別の作品が適法かどうかを判断する法律相談ではありません。権利関係に不安があるときは、学校・募集主催者・権利者や、著作権に詳しい弁護士などの専門家へ確認してください。

文化庁と文部科学省の公式情報は2026年7月19日に確認しました。法令、公式見解、サービス規約、応募要項は変わる可能性があります。本記事の9項目は、公式資料の要点を家庭で実行しやすくするために「あなたのAI教室」編集部が整理したもので、行政の公式判定基準ではなく、法的な安全を保証するものでもありません。

結論|「作れた」と「公開できる」は分けて考える

画像生成AIとの著作権を考えるときは、少なくとも次の二つを分けます。

  1. AIサービスを開発する事業者が、モデルの開発・学習に著作物を利用する場面
  2. 子どもや保護者が、AIへ指示を出して画像を生成し、その画像を提出・公開・販売する場面

文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」も、「開発・学習段階」と「生成・利用段階」を分けて整理しています。家庭で画像を作る人が最初に確認したいのは、主に後者です。学習データについての議論だけを見て、「この出力は投稿してよい」「このサービスなら絶対に安全」とは判断できません。

さらに、画像を生成する行為と、その画像をインターネットで公開する行為でも判断が異なり得ます。文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」は、私的使用などの範囲で生成できる場合でも、インターネット配信や複製物の譲渡では改めて著作権侵害が生じないか確認する必要があると説明しています。

親子では「AIが出してくれたから完成」ではなく、次の三つの関門を置きましょう。

  • 作る前:入力する素材、指示、サービスの条件を見る
  • 作った後:既存作品との類似、人物・ロゴ、制作記録を見る
  • 公開・提出前:公開先の規則、AI利用の表示、相談の要否を見る

作る前に確認する3つのこと

1. 入力する画像を自分で用意したか、利用許可を確認したか

自分で描いた下絵や撮影した物の写真は、出発点を説明しやすい素材です。他人が描いたイラスト、ウェブで見つけた写真、教科書や漫画のページを入力するときは、「ネットで見られる」ことと「AIへ入力してよい」ことを分け、権利者の許可や素材のライセンス、サービス規約を確認します。

特に、既存画像と似た生成物を作る目的でその画像を入力する場合は注意が必要です。文化庁のガイダンスも、既存の著作物を入力し、それと類似する生成物を作らせる目的がある場合、入力段階で権利者の許諾が必要となる場合があると整理しています。

「出典を書けば入力してよい」「少し加工すれば自分の素材になる」とは限りません。許可範囲が分からない素材は使わず、紙に描いた自分の形、家にある物、自分で考えた色や場面から始めます。

2. 特定作品を再現する指示になっていないか

作品名、キャラクター名、画像そのものを入力し、「同じ顔・衣装・構図で」「ほとんどそのまま作って」と頼むことは避けます。文化庁のガイダンスは、既存作品の題号やキャラクター名などの固有名詞をプロンプトへ入れたことが、利用者がその作品を認識していたと推認させる間接事実になり得ると説明しています。

好きな作家の「画風」やアイデアと、著作権で保護される具体的な表現との境界は、短い言葉だけで決められません。「画風には著作権がないから、誰の名前を指定しても問題ない」と一般化せず、特定の作家を再現する指示は避けましょう。「明るい配色」「丸い形」「紙を切ったような質感」など、作品名ではなく自分が表したい要素を言葉にします。

3. 人の顔・個人情報とサービス条件を確認したか

友だち、先生、家族の顔写真を、本人や保護者に知らせず入力しません。背景に名札、学校名、住所、位置情報、表札が写っていないかも見ます。顔や個人情報は、著作権とは別に、肖像、プライバシー、個人情報などの問題が関わり得ます。

また、画像生成AIごとに、対象年齢、保護者同意、入力データの扱い、禁止される使い方、生成物の利用条件が異なります。最新の公式規約とプライバシー説明を保護者が読みます。家庭で決めたい個人情報や肖像の基本は子どもが生成AIを安全に使うための7つのルールを、子どもの直接利用に関する年齢条件は子どものAI教育は何歳から?年齢別の始め方を先に確認してください。

作った後に確認する3つのこと

4. 知っている作品と強く似ていないか

著作権侵害の判断では、一般に既存の著作物との「類似性」と「依拠性」が問題になります。文化庁のガイダンスは、次のように説明しています。

  • 類似性:既存作品の表現上の本質的な特徴を、生成画像から直接感じ取れること
  • 依拠性:既存作品に接し、それを自分の作品の中に用いること

これは、保護者が画像を見ただけで最終的な法的結論を出せるという意味ではありません。類似性と依拠性の有無、権利制限規定が適用されるかは、個別の事情に応じて判断されます。

なお、生成AIでは、利用者が既存作品を知らなくても、その作品がAIの学習データに含まれ、類似した出力が生成された場合には、依拠性が推認され、著作権侵害になり得ると文化庁は整理しています。そのため、「知らなかった」ことだけで安全とは判断できません。

公開候補を選んだら、親子それぞれの目で見て、「知っているキャラクターの顔、服、道具、ポーズ、構図の組み合わせと強く似ていないか」を確かめます。気になる部分は画像検索も補助にします。ただし、検索で同じ画像が見つからなかったことは、権利侵害がない保証にはなりません。少しでも「これはあの作品だ」と感じる特徴があるなら、出力を採用せず、指示を変えて作り直します。

5. ロゴ・署名・透かし・実在人物らしき顔がないか

AI画像には、頼んでいない文字、ロゴに見える形、作家の署名や透かしのような模様、実在人物に似た顔が現れることがあります。これらを「AIのミスだから」とそのまま公開しません。

拡大して四隅、服、背景、看板、持ち物まで確認します。不自然な記号を消せば必ず使えるわけではありません。既存ブランドや人物との関係が疑われる画像は採用を止めます。学校名や企業ロゴが必要な課題なら、勝手に生成させず、先生や権利を管理する相手へ正しい素材と利用方法を確認します。

6. 子どもが行った選択・修正を記録できるか

作った日、サービス名、入力した素材、プロンプト、生成候補、採用した理由、子どもが描き足した部分や変更した色を残します。下絵や途中画像は上書きせず、制作順が分かる名前で保存します。

文化庁のガイダンスも、プロンプトなど生成過程を確認できる状態にしておくことが望ましいとしています。記録は「絶対に権利を証明できる証拠」ではありませんが、何を参考にし、子どもがどこを考え、どう直したかを先生や主催者へ説明する助けになります。

おすすめの記録は次の6点です。

  1. 元にした自作の下絵・写真と作成日
  2. 入力した指示と生成日時
  3. 出力された候補画像
  4. 候補を選んだ理由
  5. 手描き・編集ソフトで加えた修正
  6. 提出先へ伝えたAI利用箇所

公開・提出前に確認する3つのこと

7. 学校・コンクール・SNS・販売先の規則を読んだか

同じ画像でも、使う場所が変われば確認先と条件が変わります。学校の授業中に見せること、学校サイトへ載せること、外部コンクールへ応募すること、SNSへ投稿することを同じ扱いにしません。

「AI利用可」と書かれていても、全部をAIで作ってよいとは限りません。利用できる工程、申告方法、年齢、素材、商用利用、応募資格を読みます。書かれていなければ、画像を作り終える前に先生や主催者へ質問します。学校の課題で確認する順序は生成AIを宿題に使っていい?保護者が確認したい5つの判断基準で詳しく整理しています。

8. AIを使った箇所と制作過程を正しく表示できるか

提出先が申告を求めている場合は、その形式に従います。指定がなくても、作品説明へ「背景案の生成に画像生成AIを使用し、人物と配色は本人が修正」のように、実際の工程を短く書ける状態にします。サービス名、利用日、指示、修正内容を別紙で求められる場合もあります。

ただし、AI利用や出典を書けば、著作権侵害がなくなるわけではありません。申告は制作を正直に説明し、応募規則を守るためのものです。似た表現や無断入力の問題を解決する許可証ではありません。

9. 迷うサインがあれば公開を止めたか

次のどれかに当てはまるときは、「せっかく作ったから」と投稿せず、一度止めます。

  • 特定の作品・キャラクター・作家がすぐ思い浮かぶ
  • 元画像を誰が作ったか、どこまで使えるか分からない
  • 友だちや先生など実在人物に似ている
  • ロゴ、署名、透かしのような要素がある
  • 学校やコンクールのAI規則が見つからない
  • 販売、広告、商品のパッケージに使う予定がある
  • 権利者や主催者から削除・修正の連絡が来た

まず先生、募集主催者、サービス提供者の公式窓口へ、どの素材をどの場面で使うか具体的に確認します。権利侵害の可能性や販売契約を判断する必要があれば、著作権に詳しい専門家へ相談します。

家庭・学校・コンクール・SNS・販売で何が違う?

文化庁の案内は、家庭内の私的使用や学校の授業には一定の例外があり得る一方、SNSへの投稿は一般への公開であり、家庭・授業と同じ感覚で扱わないよう注意を促しています。著作権法(e-Gov法令検索)の私的使用や授業目的の利用に関する規定にも、それぞれ要件があります。「教育目的」「非営利」と書けばすべて許されるわけではありません。学校の授業と、営利目的の塾、学校サイト、外部イベントも同じ条件だと決めつけず、利用場所ごとに確認します。

利用場面 最初に確認する相手・規則 親子で見るポイント
家庭内で試す 画像生成AIの規約、入力素材の利用条件 家族だけで見る場合でも、他人の画像・顔・個人情報を無断入力しない
学校の授業 先生、学校のAI方針、課題の指示 授業内の利用範囲と、学校サイトや発表会など外部公開の範囲を分ける
コンクール 最新の募集要項、主催者 AI利用の可否、利用工程、申告方法、応募資格を作品ごとに確認する
SNS SNS規約、画像生成AIの利用条件、権利者の公開ルール 不特定多数が見て保存・再共有し得る。家庭内利用の延長と考えない
販売・広告 利用サービスの商用条件、販売先規約、必要に応じ権利者・専門家 類似、人物、ロゴ、保証条項を家庭だけで断定しない

AIで作った画像に子どもの著作権はある?

これも「AIを使ったら必ずある/必ずない」とは答えられません。文化庁の著作権に関するFAQは、AI生成画像が著作物に当たるか、誰が著作者になるかは、利用者の創作意図と創作的寄与の程度を個々の事例に応じて判断すると説明しています。

重要なのは、プロンプトの文字数や作業時間だけでは決まらないことです。長い指示を書いた、何十回も生成ボタンを押したという労力だけで、出力全体に著作権が生まれるとは限りません。一方、表現に関する具体的な指示を試行錯誤して修正した過程や、生成画像へ人が創作的な加筆・構成を行った部分は、判断要素になり得ます。AI生成部分と、人が描き足した部分を分けて考える場合もあります。

だからこそ、子どもの学びでは「権利を取るために長い指示を書く」のではなく、何を伝えたいかを考え、複数案を比べ、自分の手で直し、理由を言葉にする過程を大切にします。作品づくりの段階的な進め方は小学4〜6年生のAI学習は何から始める?も参考にしてください。

親子で使う公開前9項目チェックリスト

次の9項目を、作品ごとに声に出して確認します。一つでも「分からない」があれば、公開・提出を保留します。

作る前

作った後

公開・提出前

このチェックをすべて通っても、個別作品の適法性が保証されるわけではありません。目的は、家庭で結論を急ぐことではなく、問題の兆しに気づき、適切な相手へ相談することです。

子どものAIイラストと著作権でよくある質問

好きなキャラクター「風」なら公開できますか?

「風」という言葉を付けただけでは判断できません。名前を出していなくても、顔、服、道具、配色、構図など具体的な表現が強く似ていれば問題になり得ます。権利者が二次創作ガイドラインを公開している場合は、対象、媒体、年齢、営利・非営利などの条件を読みます。分からなければ公開しない画像として楽しむか、自分で考えた特徴へ作り直します。

好きな作家の画風を指定するのは問題ありませんか?

作風やアイデアと具体的な表現の境界は、簡単な合言葉では決められません。著作権以外にも、サービス規約、表示の仕方、作家への誤認や評判など別の問題が関わる可能性があります。特定の作家名で再現を求めず、色、形、素材感、光、場面など自分が表したい要素へ分解しましょう。

自分や家族の写真なら入力してもよいですか?

撮影者の権利だけでなく、写っている本人の同意、背景の個人情報、利用サービスでのデータの扱いを確認します。子どもの顔写真は、本人がよいと言っただけで決めず、保護者が公開範囲と将来の再利用も考えます。他人が写る写真は無断で入力しません。

学校の授業で作った画像をSNSにも載せられますか?

授業中に利用できたことから、SNS公開まで自動的に許されるとは限りません。文化庁の「著作権について知っておきたい大切なこと」も、学校の授業や私的使用の例外と、一般への公開であるSNSを分けて考えるよう案内しています。先生、学校、入力素材の権利、SNS規約を改めて確認します。

AI利用と書けばコンクールへ出せますか?

表示だけで応募可能になるわけではありません。AIを全面的に禁止する、補助利用だけ認める、利用工程の申告を求めるなど、条件はコンクールごとに異なり得ます。最新の募集要項を読み、不明点は応募前に主催者へ問い合わせます。著作権上の問題があれば、「AI使用」と書いても解消しません。

AI画像は販売や広告に使えますか?

一律には判断できません。画像生成AIの商用利用条件、販売先の規約、入力素材、既存作品との類似、人物、ロゴなどを確認します。無料プランと有料プランで条件が異なるサービスもあるため、利用時点の規約を保存します。契約で権利の保証を求められる場合や、似た作品・人物を含む場合は専門家へ相談してください。

まとめ|公開前に止まれることもAI創作の力

AIイラストの著作権は、「AIだからOK」「AIだからNG」という二択では判断できません。作る前には素材・指示・人物と利用条件、作った後には類似・ロゴや顔・制作記録、公開前には提出先の規則・AI利用表示・相談の要否を確認します。

子どもに必要なのは、怖がって創作をやめることではなく、「作れた」と「公開できる」を分け、自分の表現と他の人の作品をどちらも大切にする習慣です。迷った画像を公開しない、作り直す、大人に相談するという判断も、AIを使った作品づくりの大切な一部です。

参考資料

OSAKI SCHOOL

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黒山 結音

この記事を書いた人

黒山 結音

NEXT INNOVAITION株式会社 代表取締役。「あなたのAI教室」を運営し、AIコンサルティング・教育事業に取り組んでいます。